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勝山剣光堂に関する刀剣等返還請求事件の結果について 

 当事務所の代表弁護士 久田 浩誌が担当しておりました福井市の勝山剣光堂の事案で平成29年9月20日に進展がありました。

 

【事案の概要】

 日本刀の業務上横領罪等に問われている福井市の刀剣販売・修理会社である株式会社勝山剣光堂に対し、福井県など13府県20人の被害者が刀剣等の返還を求めていた集団訴訟でした。

 原告らは刀剣の修理や刀剣などの委託販売等の理由で被告である株式会社勝山剣光堂にそれらの品を預けていたのですが、同社が「キャンセルできない契約になっている,迷惑料を払え」などと主張して、預けた品物の返還に応じてもらえない、という相談があり、大阪の梅田法律事務所 西村雄大弁護士と当事務所の久田が共同受任することになりました。

 久田と西村弁護士で調査したところ、原告が被告に預けた刀剣や鐔(つば)、刀箪笥(たんす)、十字槍、香炉等不当に返されなくなっているものが多数あり、被告が預けた刀剣の中には数十万円するものから最高百万円余りの価値が有るものまで含まれていました。

 そこで、原告15名が平成28年11月,原告5名が平成29年2月に株式会社勝山剣光堂を提訴しました。

 

【本事案の結果】

1.平成29年7月:福井地裁から代金と引き換えに刀剣を原告の中の3人の方について返還するよう被告に命じる決定がありました。この件に関しては既に決定に基づく強制執行により回収いたしました。

 

2.平成29年9月20日:福井地裁は被告側の主張はすべて退けたうえで、原告側の訴えをすべて認め、刀剣などを引き渡すように被告に命じました

 

【今回の事案の結果を受けて当事務所 久田のコメント】

 今回の訴訟は、法律的に見ると、原告が「委託契約」又は「請負契約」の解除を根拠として、被告に対し刀剣等を返還を求める、という点において共通した事案でした。

刀剣等の返還を求める、といっても原告らが被告に預けた物は、刀や拵え(刀の外装)、手入れ道具、刀掛台(刀を飾っておく台)、鑑定書等、多岐に及んでいました。
 また、原告らが被告にそれらを預けるまでの経緯や、預けた後の当事者間のやり取り等、当然個々の契約の内容で異なっていました。
刀剣の取引、という特殊な事情もあったことから、私と西村弁護士は剣光堂の被害に遭われた方たちに対し、詳細な聞き取り調査を行うことを心がけ、丁寧に訴訟手続きや訴訟準備を行いました。
私は剣道経験者だったのですが、刀特有の部位の名称などの専門的な言葉が原告の方から聞き取りをしていく中で出てきて、その部位がどこに該当するのかなどといった把握にも苦労しましたが刀剣に関する知識を本件でいろいろ学べたことは私の今後のいい糧になったと思います。
 福井市内で会見しましたが、
「不当な契約条項に基づく被告の主張は認められず、『キャンセルしない』と被害者から得ていた同意も無効と判断された」と評価された今回の判決が出たことは喜ばしいことです。
 私たちは、この判決に基づいて、原告の皆様に早く愛刀等が業者から返還されるように今後も活動を続けていきます。
 
 
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