最近インターネットが身近になりましたよね…という言葉をもう使わなくなるくらいに自然に私たちの生活環境の中に溶け込んでいるインターネット環境。今では小学生からスマートフォンを持ち,スマートフォンがなければ交友関係も築けないという怖い話がニュースで流れています。
インターネットは便利で老若男女問わず利用される一方で,トラブルもまた複雑,かつ個人での解決が困難になってきました。
今回はSNSで何者かに「なりすましアカウント」を作成された場合,そのアカウントが全部削除してもらえるのか,という点について,地裁の決定ですが,削除基準が示されたので記事にしました。
本件は,ツイッター上で何者かに「なりすましアカウント」を作成された埼玉県内の飲食店経営の女性が,ツイッターになりすましアカウントが作成されたという事案です。
そこにはプロフィールとして画面上に女性の実名と住所,ネット上などで見つけたとみられる本人の顔写真が掲載,実在する元AV女優と同一人物だとする虚偽の情報が併記され,また,タイムライン上に,この女優の出演作の画像が11回にわたって貼り付けられていました。
女性は弁護士に相談し,このような「なりすましアカウント」は「人格権侵害」に該当するとして同地裁に仮処分を申請したところ,ツイッター社は「(アカウント自体の)全削除をすれば,将来の表現行為まで不可能になる」と反論し,訴訟となったのです。
さいたま地裁は昨年10月に,削除を命じる決定の中で
1.アカウント全体が不法行為を目的とすることが明白で
2.重大な権利侵害をしている場合
アカウントの「全削除」を命じられる
との基準を示し,本件の女性の事案も「なりすまし」自体が人格権の侵害に当たると認めました。
ツイッター社は同決定に異議申し立てを行い,その後も同地裁で異議審を継続しましたが,女性のなりすましアカウントが消えた為,昨年12月ツイッター社が異議を取り下げ,審理は終結し,今回ニュースとなったのです。
当事務所の代表弁護士久田は「成りすまし記事を投稿した人物を特定した上でアカウント削除の交渉を行なったり,個々の投稿を削除するなどの方法で問題解決を図ってきましたが,本裁判例が出たことで,さらに問題解決の手段が増えたのではないか」と考えております。
「なりすましアカウント」が日々の生活の中で「なりすましアカウント」によって苦しまれている方,個人で解決しようと思っても容易ではありません。
一度河原町五条法律事務所に相談してみませんか。