改正ストーカー規正法が平成29年1月3日に施行されました。
以下の記事は,改正前の記事です。
今年5月21日,アイドル女性が東京都小金井市のイベント会場付近路上でファンの男性に20箇所以上を刺され意識不明(5月24日時点)となる事件が発生しました。
ファンの男性は,この事件の以前から,ツイッターやブログ上に嫌がらせの投稿を行っていたとのことで,女性とその母親はそれぞれ警察に被害の相談を行っていたようです。
この事件をめぐって,ストーカー規正法に関するニュースを目にしますが,SNSが規制の対象外であるかのように読める見出しのニュースも見られます。
果たしてSNSはストーカー規正法の対象外なのでしょうか。
まず,ストーカー行為の規制対象となる「つきまとい等」の行為が8類型規定(ストーカー規正法2条1項各号)されています。誤解を恐れず簡略化すると以下のとおりです。
1.つきまとい,待ち伏せ,押しかけ等
2.監視していると思わせるような事実を告げること等
3.面会や交際等義務のないことの要求
4.粗野・乱暴な言動
5.相手の意思に反し電話やメール・ファックスを送り続けること
6.嫌悪感を生じさせるもの(動物の死体等)を送りつけること等
7.名誉を害することを告げること等
8.性的羞恥心を害することを告げる,わいせつな文書等の送付等
このうち,5番については手段が電話・ファックス・メールと規定されており,SNSによる犯行が規制されているわけではありません。また,1番についても実際にストーカー被害者の付近まで近づくことが想定されていますので,SNSによって行うことができません。
しかし,2番については,5番のように手段が規定されているわけでもなく,1番とは違ってSNSを手段として実行することは可能です。
実際,2015年9月には加害者である男性会社員が無料通信アプリLINEで被害者に連絡を行ったとして,滋賀県彦根警察署に逮捕されています。この事件では,被害者女性の入浴時間帯や体に関する内容のメールも含まれていたとのことであり,これが2番や8番の規制対象と判断されたものと考えられます。
なお,今回のアイドルが刺された事件については,加害者とされる男性は被害者に対しわいせつな内容の図書を送付していたとのことですので,このあたりの事情も弁護士が十分にヒアリングを行い,警察に事情を説明できていれば,警察の対応も変わったかもしれません。
ストーカー被害は,警察だけでなく弁護士も対応可能です。
ストーカー被害でお悩みの方は,一度弊所に御相談ください。